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予防と治療「神経系」
頭痛
A、概念 頭痛は痛みが頭部組織に限局して発生した場合をいい、大別すると器質的疾患に伴って発生する二次性頭痛と、偏頭痛、群発頭痛、緊張型頭痛などの慢性反復性頭痛とに分類されます。
器質的疾患に基ずく頭痛は、くも膜下出血、髄膜炎、脳腫瘍などによるもので症状が重篤かつ緊急を要する場合がほとんどですから鍼灸不適応疾患となります。したがってここでは慢性反復性頭痛について述べます。
まず偏頭痛についてですが、頭痛が発作的に数時間から数十時間持続し、片側性、拍動性に起こり、日常生活に強度の支障をきたします、随伴症状としては悪心、嘔吐、羞明、音過敏を伴い、体位変換や運動により頭痛が増悪します、偏頭痛には前駆症状を伴う場合と伴わない場合がありますが、前兆として最も多いのが閃輝暗点です。
偏頭痛発症の原因として脳内セロトニンの低下があげられています。
緊張型頭痛は頭部を圧迫または締め付けられるような持続性の痛みが両側性に生じます。
また偏頭痛のような強度の痛みは無く随伴症状もありません、原因としては精神的ストレス、筋性ストレスが重要な要素となっています。
群発頭痛は20歳から40歳の男性に多く発症し、眼球周囲を中心とする片側性の激しい頭痛が突然起こり、一回の発作は2時間以内と比較的短いですが、数週間に渡り毎日同じ時間帯に起こります。
随伴症状として頭痛側の流涙、眼の充血、鼻汁、鼻閉などが特徴としてあげられています。
B、鍼灸治療 機能性頭痛に対する鍼灸治療は疼痛緩和を目的とした圧痛箇所への施術と疼痛領域を支配している知覚神経の中枢側に治療点を見出します。
また随伴症状に対しては症状部位を走行する経絡の中から症状にふさわしい要穴を選んで対症治療とします。
そしてこの機能性頭痛の原因で大きな部分を占めているのがストレスですからストレス緩和を目的とした全身治療が特に重要です。
C、予防 生活の中で症状を誘発する条件を丹念に調べて、それぞれ改善していかなければなりません。
特に飲酒、喫煙、コーヒーなど脳神経や脳血管を刺激するものをなるべく控えるようにしたり、過度の疲労や緊張はストレスを増大させますから、そのような状況にならないよう心がけてください。
三叉神経痛
A、概念
三叉神経痛は、三叉神経領域のうち主に第2枝と第3枝に激しい疼痛発作を起こすもので、1、2秒の激痛発作が顔の片側に生じ、不快感が数秒続いて突然に症状が消失することが特徴的です。
三叉神経痛は疼痛を誘発する区域が鼻唇溝口や口腔内粘膜に存在す
るため、洗面、歯ブラシの使用、会話、咀嚼などによって疼痛発作が誘発されます。
三叉神経痛の症状は徐々に進行して重症例では洗面、ひげ剃り、摂食が困難になることがあります。
三叉神経痛の原因は小血管が三叉神経根部を圧迫して疼痛発作を起
こすと考えられていますが、このような異常血管が見出されない場合もあるようです。
B,鍼灸治療
三叉神経痛に対する鍼灸治療は対症治療としてまず疼痛領域を支配している神経根部を治療点とします。
そして経絡としては顔面部に作用する要穴に施術します。
また三叉神経痛は随伴症状として頚、肩、肩甲間部に必ず、こりが生じていますのでそれらの治療もあわせて行います。
C、対策
三叉神経痛を誘発する要因が生活に必要なものばかりですので、これらを除外または制限することはできません。
したがって動脈瘤、腫瘍、異常血管による圧迫といった原因がはっきりしている場合は手術による除去も必要ですが、それ以外の場合は鍼灸治療による疼痛緩和及び根治が可能です
。
肋間神経痛
A、概念
肋間神経の走行に沿って生ずる疼痛発作を肋間神経痛と呼びます。
この肋間神経痛は他の神経痛と同様、単なる症状名にすぎず疾患名ではありません。
したがっていろいろな基礎疾患によって、肋間神経痛の症状が起こります。
最も多いのが脊椎及び脊髄の疾患で、それ以外では胸腔内疾患によ
る関連痛として起こります。
肋間神経痛の疼痛は激しく、咳、くしゃみなどにより増悪したり、誘発されたりします。
通常、肋間神経痛の症状は片側性で基礎疾患の早期診断とそれに対する治療が重要です。
B、鍼灸治療
肋間神経痛に対する鍼灸治療は、疼痛域を支配する神経根部として、背部、側胸部、前胸部を治療点とします。
そして肋間神経痛を起こす基礎疾患が、椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、脊椎分離症、脊椎すべり症などによるもので保存療法が可能なものは併行してそれらの治療も行います。
その他、肋間神経痛を起こす基礎疾患が、腫瘍、骨折、カリエス、胸腔内疾患などによる肋間神経痛は、西医よる治療が先決で鍼灸治療は併用療法として疼痛緩和を目的とした治療となります。
C、対策
肋間神経痛を誘発する原疾患は多岐にわたっている為、根本的な予防法はありません。
肋間神経痛を発症した場合は極力、咳、怒責、くしゃみなどを抑えて症状を増悪させないようにしてください。
坐骨神経痛
A、概念
坐骨神経痛を起こす坐骨神経は脊椎管腔、骨盤腔内及び骨盤外で下肢後面から足部まで広い範囲にわたって走行しています。
この神経は運動、知覚、及び自律神経線維を含んでいるので、この神経が損傷すると運動障害、知覚障害、自律機能障害が出現します。
坐骨神経痛を起こす原因は大別すると、原発性神経疾患と二次性神経疾患に分けられます。
原発性は炎症、変性疾患、代謝性疾患などによるもので、二次性は脊椎管腔内 ( 椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など )
、脊椎管腔外 (梨状筋症候群、 前立腺腫瘍、股関節脱臼など ) 、及び仙骨周囲の腫瘍による反射性疼痛などによるものです。
このうち最も多いのが椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛です、また50歳から60歳代以降では腰部脊柱管狭窄症による坐骨神経痛が多くなっています。
坐骨神経痛による疼痛の性質は、一般に灼熱様疼痛でこの神経は正中神経についで灼熱痛が多いといわれています。
B、鍼灸治療
坐骨神経痛に対する鍼灸治療は、原発性に起因する坐骨神経痛ついては原因がビタミン不足、重金属中毒、糖尿病などによるものですから、それらの治療が先決で、坐骨神経痛の鍼灸治療は疼痛緩和を目的とした治療となります。
二次性に起因する坐骨神経痛ついては、原疾患が外科的治療となるものは対象外で、原疾患が保存療法となるものについては鍼灸治療が非常によく効きます。
坐骨神経痛の治療は、腰仙部、下殿部、下肢へと坐骨神経の走行に沿って行います。
C、対策
保存療法可能な坐骨神経痛については、生活の中で症状を増悪させる行動を避けるようにしてください。
たとえば椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛は重量物の持ち運びや患側に負担がかかるような姿勢での作業とかです。
また脊柱管狭窄症による坐骨神経痛は、長距離の歩行や後屈位で症状が悪化しますので、移動は手押し車とか自転車で行ってくだい。
顔面神経麻痺
A、概念
顔面神経麻痺は中枢性顔面神経麻痺と末梢性顔面神経麻痺に分けら
れます。
中枢性顔面神経麻痺は脳血管障害などでみられ、前頭筋が侵されないという特徴から鑑別診断の判断材料として、額にシワ寄せができるか否かを診ます。
末梢性顔面神経麻痺は顔面神経麻痺の大部分を占め、このうち原因がはっきりしているもの、たとえば外傷、新生物、感染症、肉芽腫、脳以外の血管障害などによるものは末梢性顔面神経麻痺と呼び、それ以外の原因が不明で突発性のものに限ってベル麻痺と呼びます。
このベル麻痺は顔面神経麻痺全体の50%から70%を占め、発生頻度は10万人に対して30人程度で男女差、年齢差はありません。
原因不明といっても現在ではウイルス、寒冷刺激、虚血、免疫異常などが考えられています。
顔面神経麻痺の症状は、通常顔の片側に発生し、表情筋麻痺による下垂症状が見られます。
また顔面神経の障害部位によっては同側の味覚低下、涙腺分泌障害、アブミ骨筋麻痺による聴覚過敏を伴うことがあります。
顔面神経麻痺の大部分を占めるベル麻痺の予後は比較的良好で、全体の50%から80%は完治するといわれています。
B、鍼灸治療
顔面神経麻痺に対する鍼灸治療は、中枢性顔面神経麻痺については、脳内血管障害によるものですから対象外となります。
原因のはっきりしている末梢性顔面神経麻痺については原因治療が先決で、併行治療が可能なものについては鍼灸治療を行います。
顔面神経麻痺の大部分を占めるベル麻痺については、原因が不明で予想される原因についても機能障害によるものが多いので、鍼灸治療は積極的に行います。
発症直後は顔面筋の安静に努め、数日後麻痺の進行が停止したら、できるだけ早く治療を行って神経線維の変性を防がなくてはなりません。
顔面神経麻痺の鍼灸治療は、麻痺している顔面筋と患側顔面神経の根部に対して行い、あわせて顔面部を走行する経絡の要穴に対しても行います。
C、予防
末梢性顔面神経麻痺については、原因疾患が非常に多いので難しい面もありますが、顔面神経麻痺の大部分を占めるベル麻痺については、片側の顔への寒冷刺激を避けたり、虚血状態にならないようにしたり、免疫力を増強することによって大部分のベル麻痺は予防可能です。
歯痛
A、概念
歯痛は歯及び周囲組織の疾患から生ずる三叉神経分布領域の痛みを
言います、そして歯痛を起こす痛みの種類は、大きく分けて三種類あります。
まず歯髄の病変による痛み、これは知覚過敏症によって起きる痛みで冷熱刺激による一過性の鈍痛です。
次に歯髄炎による痛み、これは急性の場合、持続的または断続的な激しい自発痛で、慢性の場合は痛みはそれほどでもなくわずかな誘発痛です。
三番目は歯周囲組織の病変による痛み、これには急性単純性歯周炎、急性化膿性歯周炎、辺縁性歯周炎があり、この中では急性化膿性歯周炎が最も激烈で持続性の自発痛があり所属リンパ節の腫脹、発熱を伴います。
これら激しい歯痛は頭、耳、舌、頚の各部位に放散し関連痛を生ずることがあり、これによって疼痛部位の特定に困難をきたすことがあります。
B、鍼灸治療
歯痛に対する鍼灸治療は歯科による治療の併用療法的なものになります.
つまり疼痛緩和を目的としたもので原疾患に対する治療効果はありません。
しかし歯科治療の最大の障害は疼痛であり、疼痛緩和のために鍼灸治療を積極的に取り入れている歯科医もあると聞いています。
歯痛緩和の治療は、三叉神経痛に対する治療に準拠し、合わせて関連痛に対する治療も行います。
C、予防
歯痛の予防はそのまま原疾患に対する予防と言うことになります、口腔内を常に清潔な状態に保つことが重要です。
帯状疱疹
A、概念
帯状疱疹は小児期に水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染すると水痘となりますが、このときに神経節へ潜伏感染したウイルスが、長期間を経た後に再活性化され、神経を伝わって皮膚に疱疹をつくります。帯状疱疹は比較的高齢者に多い疾患ですが、小児や若年者の帯状疱疹もまれではありません。帯状疱疹の症状は、片側性に神経痛様の疼痛が1週間程度続き、神経の走行に沿って紅斑が出て数日後水疱が多発します、水泡は10日程度でかさぶたとなり3週間前後で治癒する予後良好な疾患ですが、高齢者の場合、後遺症として帯状疱疹後神経痛と呼ばれる疼痛が長期にわたって続くことがあります。また顔面神経膝神経領域の帯状疱疹では水泡が耳介、外耳道などに出てラムゼイハント症候群と呼ばれる顔面神経麻痺の症状が出てきます。
B、鍼灸治療
帯状疱疹に対する鍼灸治療は原因がヘルペスウイルスによるものですので、西医による抗ウイルス治療の併用療法として疼痛緩和を目的とした治療になります。しかし帯状疱疹後神経痛については西医においても消炎鎮痛薬が無効で確実な治療法はない状態です、したがって鍼灸治療では疼痛緩和処置とあわせて体質改善を目的とした全身治療を根気強く行います。治療は三叉神経痛と同様、疼痛領域を支配する神経根部への働きかけと走行する経絡の要穴に対して行います。
C、予防
帯状疱疹は高齢者に多発することから免疫力低下により日和見的に発症すると考えられます。したがって食事、睡眠、運動に配慮して免疫力低下を防ぐようにしてください。
しびれ(痺れ)
A、概念
しびれ(痺れ)には感覚障害、運動障害、及び両者が合併した場合の三つがあります。感覚障害によるしびれ(痺れ)は、感覚鈍麻あるいは消失、自発的な異常感覚、外的刺激による異常感覚、及び疼痛があります。運動障害によるしびれ(痺れ)は、急激な運動麻痺をしびれ(痺れ)と感じます。両社の合併によるしびれ(痺れ)は、末梢神経の圧迫や急性循環障害の場合にしびれ(痺れ)と感じます。またしびれ(痺れ)には単一末梢神経の障害によるしびれ(痺れ)と中枢神経障害によるしびれ(痺れ)があります。単一末梢神経障害の原因疾患は神経線維の圧迫、炎症、代謝障害、循環障害などです。中枢神経障害によるしびれ(痺れ)は視床、脳幹、脊髄などの感覚神経伝道路の病変によって起こります。このように一口にしびれ(痺れ)と言ってもその種類と原因は、多種多様ですので診断には細心の注意が必要です。
B、鍼灸治療
しびれ(痺れ)に対する鍼灸治療は、中枢神経障害によるものは脳及び脊髄の障害ですので対象外となります。単一末梢神経障害によるもので原因が圧迫、炎症、循環障害によるものは鍼灸治療が非常に有効ですが、代謝障害によるものはアミロイドニューロパシーや糖尿病など全身性の代謝疾患によるものですので、それらの治療が先決となります。治療は神経根、神経叢、神経線維の走行に沿って行います、また代謝障害によるもので、西医による治療が著効を見ない場合は体質改善を目的とした全身的な鍼灸治療を行います。
C、予防
長期正座による足のしびれ(痺れ)や、肘枕による手先のしびれ(痺れ)は一過性のものですので心配はありませんが、これも程度問題で、過度の虚血状態は神経線維を傷つけますので注意してください。また準備運動なしの過激な運動も関節部を走行する神経線維を傷つけますので気をつけてください。
メニエール症候群
A、概念
メニエール症候群はメニエール病の主症状である、めまい、耳鳴り、難聴を総称した内耳性の症候名です。めまいは回転性めまいであることが多く、めまいの持続時間は30分から数時間持続しますが、2日以上にわたることはありません、まためまいと共に耳鳴り、難聴が随伴、増強することが特徴的です。メニエール病の本体は内リンパ水腫と考えられていますが、発生原因は明らかではありません。本疾患は多くの場合30歳から50歳代に発症し、男女差は特にありません。めまい発作は反復しますがその間隔については一定ではありません、しかし回転性であることが特徴として挙げられています。
B、鍼灸治療
メニエール症候群に対する鍼灸治療は西医による治療と併行して行います。つまり自律神経失調症状に対しては悪心、嘔吐の軽減を目的とした治療、機能的内耳機能障害に対しては筋緊張とストレス緩和を目的とした治療を行います。そして症状が器質的内耳機能障害まで進行している場合は内耳手術対応となりますので鍼灸治療対象外となります。
C、対策
内リンパ水腫の原因として内リンパの過剰生産、または吸収障害と考えられていますが発生機序が明らかでないので対処の方法がありません。しかし、めまい発作の誘引として過労、睡眠不足、喫煙、食塩の多量摂取などが挙げられていますので、生活の中でこれらを注意するようにしてください。
めまい
A、概念
めまいは運動覚や位置覚の異常を訴えるものを言い、体の回転感、動揺感、昇降感、傾斜感などがあります。人間の平衡感覚は前庭系、視覚系、深部知覚系の三系統が有機的に働き、脳幹、小脳、大脳、視床下部などの中枢神経と連携してめまい刺激を調節しています、したがってこれら調節系の働きが崩れたときにめまいが発症します。めまいを発症させる部位としては内耳、前庭神経、中枢神経などに障害があるとめまいの症状がでてきます。その他では血圧異常、自律神経障害、心因性などによってもめまいが起こります。まためまいは障害部位によって中枢性のめまいと末梢性のめまいに分けられます。中枢性のめまいは、めまいそのものは軽いのですが持続性で、注視方向の眼振及び他の神経症状を伴います、原因は脳血管障害、腫瘍、変性疾患などによるものです。末梢性のめまいは反復性のめまいが多く、耳症状を伴い頭位変化の影響が多く嘔吐をみることがあり、方向一定性の眼振があります。めまいの原因は、前庭機能障害を伴う内耳障害、メニエール病、耳硬化症、突発性難聴などによるものです。
B、鍼灸治療
めまいに対する鍼灸治療は末梢性のめまいの内、メニエール病以外では主に内耳性のめまい、および良性発作性の頭位めまい症を対象とします。治療は頚部交感神経への働きかけと筋緊張及びストレス緩和を目的とした治療を行います。中枢性のめまい及び器質的疾患によるめまいは西医による治療と併行して行い、血液循環改善を目指した治療となります。
C、対策
めまいの原因は中枢性、末梢性、器質的疾患、機能障害によるものなど多種多様ですので、すべてに対して予防するのは困難です。したがってめまい発作が起きたら、すみやかに原因を究明して適切な治療を心がけてください
脳卒中後遺症
A、概念
脳卒中は脳の血管障害であり、急激に意識障害や神経症状が出現する病態です、これには脳出血、クモ膜下出血、脳梗塞があります。これらの治療には内科的治療、外科的治療を問わず多くの場合、脳卒中後遺症と呼ばれる後遺症が発生します。この脳卒中後遺症は、脳の損傷部位によって片麻痺、痙縮、失調、知覚障害、視野及び眼球運動障害、言語障害など多彩です。また合併症も多く、関節拘縮、骨粗鬆症、肩手症候群、褥瘡、肩の亜脱臼、排尿障害などがあります。これらの脳卒中後遺症や合併症を最小限にとどめ、機能を回復し社会復帰する為、障害の程度に応じた、リハビリテーションプログラムが用意されています。
B、鍼灸治療
脳卒中後遺症に対する鍼灸治療は主に片麻痺で病院でのリハビリテーション完了後または通院治療可能な状態を対象とします。脳卒中後遺症の治療は、患側の麻痺したすべての筋群に対して血液循環改善を目的とした治療を行います、また健側の筋群の負担を軽くする治療も行います。
C、対策
脳卒中後遺症による片麻痺の病院における集中的なリハビリは一般的に6カ月といわれています。しかしその後は、脳卒中後遺症が固定してしまうのかというとそうではなくて、その後も緩やかですが耐久力の増加、麻痺の回復は続いていきますので継続的な訓練と治療は必要です。
不眠症
A、概念
不眠症はきわめて頻度の高い症状で、その障害の状態から入眠障害による不眠症、熟眠障害による不眠症、早期覚醒による不眠症に分類されます。入眠障害による不眠症は入眠するまでに1時間以上を要することを特徴としています。熟眠障害による不眠症は夜間に何度も目覚め、覚醒後の再入眠が妨げられたり、眠りが浅くて熟睡感がないことを特徴としています。早期覚醒による不眠症は入眠はするものの、明け方の早い時間に目覚め、その後は眠れないことを特徴としています。これら不眠症の原因は身体的要因(咳、頻尿、下痢)、薬剤性(降圧薬、ステロイド製剤、カフェイン)、環境と生活習慣(騒音、照明、交代勤務)、精神的要因(うつ病、神経症、不安、ストレス)、特殊な睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群、睡眠時ミオクローヌス)などが挙げられています。
B、鍼灸治療
不眠症に対する鍼灸治療は原因の如何を問わず、まず自律神経(交感神経、副交感神経)のバランス調整を目的とした治療を行います。そして不眠症の原因が、身体的要因や精神的要因のうち鍼灸治療可能なものは併行してそれらの治療も行います。また不眠症によって引き起こされるストレスの悪循環を断ち切る治療として全身治療を行います。
C、予防
不眠症の原因として挙げられているもので、身体的要因は原因疾患の治療、環境と生活習慣はその要因を改善する、精神的要因はストレスを解消する、そして睡眠時無呼吸症候群は主に肥満によるものですから肥満を防止するということで、不眠症の多くは予防できます。
乗物酔い
A、概念
乗物酔いは加速度病とか動揺病ともいわれ、車、船舶、飛行機、列車などに乗った際、動揺刺激によって出現する自律神経症状です。症状はあくびに始まり、顔面蒼白、冷汗、頭痛、悪心、そして嘔吐です。原因は乗物の動揺刺激が内耳の半規管や耳石器系に作用して自律神経の失調状態を発症するものと考えられています。これら外的要因のほかに内的要因として胃腸障害、睡眠不足、体質、自己暗示なども関係しています。
B、鍼灸治療
乗物酔いに対する鍼灸治療は一時的な対症治療ではなく、自律神経機能の強化と体質改善による根治治療となります。治療は自律神経のバランス調整を目的とした治療と古来より伝わる特効穴治療を行うと共に胃腸強化の治療も行います。
C、予防
乗物酔いに対する予防は内的要因の改善が必要です、特に自己暗示による発症は大きな比重を占めていますので注意してください。ただ内耳は「なれの現象」があるため、何度か同様の刺激をおこない、乗物酔いを軽快させることが可能です。
しゃっくり
A、概念
しゃっくりは横隔膜や肋間筋などの呼吸筋が不随意に収縮する現象で、急激な吸気に続いて声門の反射的閉塞が起こり独特の音が発生します。しゃっくりの原因は、横隔膜を支配する左右一対の横隔神経、迷走神経及び延髄の呼吸中枢のどこかで刺激を受けることによってしゃっくりを発症します。刺激の原因として腹部臓器疾患によるもの、胸部疾患によるもの、呼吸中枢近傍の炎症や腫瘍によるもの、尿毒症やアルコール中毒などの中毒性によるものがありますが、原因が明らかでないものや心因性のものもあります。しゃっくりの多くは一過性で無害のことが多く、しゃっくりそのものは自然に消失しますが、長時間しゃっくりが持続する場合には食事、睡眠、時には呼吸の障害となり生命を脅かすこともあります。
B、鍼灸治療
しゃっくりに対する鍼灸治療は、原因が明らかでないしゃっくりや心因性のしゃっくりを対象とします。しゃっくりの治療は後頚部交感神経と前頚部迷走神経に対する働きかけを中心に、古来より伝わる治療穴、特効穴に対しても行います。また原因が気質的疾患によるしゃっくりは原因疾患の治療が先決で、鍼灸治療は併用療法的な治療となります。
C、対策
しゃっくりの原因は多岐にわたっているので予防はできません、したがってしゃっくりが起きたら嚥下運動、冷水飲用、息こらえ、眼球圧迫や呼吸のタイミングをずらしたりして、しゃっくりを長引かせないようにしてください。
ED
A、概念
EDとはErectileDysfunction(勃起能力の低下)の略称です、以前はインポテンス(男性の性的不能)という言葉が使われていましたが、男性の能力を否定するイメージが強いので、最近ではEDという表現が定着してきています。EDには生来一度も性交できたことのない一次性(原発性)と、従来は性交可能であったものが不可能になった二次性(続発性)とがあります。また勃起能力は正常にあるにもかかわらず精神的要因などにより充分な勃起が得られない機能的EDと、勃起に関与する神経、血管、ホルモンあるいは陰茎そのものの障害により性交できない器質的EDとがあります。日本では40歳〜70歳の男性の半数以上が何らかの原因でEDとなっており、このうち大多数が機能的EDであると考えられています。
B、鍼灸治療
EDに対する鍼灸治療は機能的EDを対象とします、これは原因が肉体的疲労や精神的ストレス、及び腎精の衰えによるものですので鍼灸治療が最も得意とする分野だからです。治療は筋疲労の除去及びストレス緩和を目的とした全身治療を行うとともに、腎精補充を目的とした経絡治療を行います。
C、予防
過労やストレスは性的刺激を減退させ、喫煙は血液循環に悪影響を与えます、また過度の飲酒は勃起機能を減退させます。したがってこれらを改善することによってEDは予防できます。
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