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予防と治療「消化器系」
- 胃炎
- 胃酸過多症
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 慢性肝炎
- 胆石症
- 口内炎
- 口角炎
- 慢性腸炎
- 下痢
- 痔
- 便秘
1、胃炎
A、概念
胃炎には、急性胃炎、慢性胃炎、急性胃粘膜病変があります。急性胃炎は胃粘膜の充血、浮腫、好中球浸潤や上皮組織の変性、剥離などによって起こる急性炎症で軽症の胃炎は数日で治癒しますが、重症の胃炎は死ぬこともあります、急性胃炎の原因には、摂取した薬剤や食品による外因性胃炎とウイルス・細菌の感染、寄生虫、アレルギーなどによる内因性胃炎があります、胃炎の症状は心窩部痛、不快感、悪心、嘔吐などで激しい場合は吐血、下血、ショックなども生じます。慢性胃炎は長期にわたって胃粘膜の欠損と再生が繰り返された結果胃粘膜や胃腺が萎縮して元に戻らない状態になってしまった胃炎をいいます、これには自己免疫が関与するA型と炎症の再生過程に生ずるB型があります、また近年胃粘膜内にらせん形をしたグラム陰性桿菌であるヘリコバクターピロリ菌が発見され、その菌の作用によって胃内にアンモニアを生じ、粘膜障害を起こすことが明らかにされ、慢性胃炎の原因のひとつとして注目されています、慢性胃炎の症状は無症状の場合もありますが、多くは心窩部鈍痛、不快感、腹部膨満感、胸やけ、悪心、嘔吐、口臭などを訴えます。急性胃粘膜病変は緊急内視鏡がさかんに行われるようになってから提唱された症候群で、突発する上部消化管症状をいい、急性びらん性胃炎、急性胃潰瘍、出血性胃炎などがあります、原因は薬剤、ストレス、アルコール、寄生虫などが考えられています、症状は心窩部痛、悪心、嘔吐、出血などです。
B、鍼灸治療
胃炎に対する鍼灸治療は、症状が急激な場合は西医による精密検査及び対症治療が必要ですが、それ以外は積極的に行います。特に慢性胃炎や反復する軽度の急性胃炎は根本原因が胃弱ですので胃腸そのものを強化しなくては根治することはできません。つまり胃炎の症状が出たときだけ治療してもそれは一時しのぎであって胃腸が強化されたわけではないのですから何度でも症状が出てきます。最近は慢性胃炎に対するピロリ菌の除菌効果が注目されていますが、ピロリ菌自体は国民の二人に一人が感染していることと感染経路が不明ですので注意が必要です。胃炎に対する鍼灸治療は、胃経を中心とした経絡治療とストレス緩和及び免疫力増強を目指した治療となります。
C、予防
胃の働きは口腔内で咀嚼された食物を受け入れて、しばらくすると蠕動運動が始まり胃腺より分泌された三種類の消化液と混和攪拌し、食物を汁状にして十二指腸へ送り出します。これら一連の働きは神経やホルモンあるいは胃そのものの自動能によって微妙に調節されています、この調節がひとつでも狂ってしまうと胃は粘膜障害を起こします。これを防ぐには暴飲、暴食、偏食、ストレス、薬の飲み過ぎなどを日常的に注意することです。
2、胃酸過多症
A、概念
胃酸過多症は胃酸の分泌能力が異常に亢進して、胃酸の分泌が正常範囲を超えてしまい胸やけやげっぷ、酸っぱい胃液が口の方へこみ上げてくる呑酸などの症状が慢性的に起こる状態をいいます。胃酸分泌過多はタンパク質分解酵素であるペプシン分泌過多をも伴っているので、食道、胃、十二指腸、ときには空腸にまで消化性びらんや潰瘍を発生させます。胃酸過多症の原因としては、胃粘膜の胃酸分泌細胞である壁細胞の増加または感受性の亢進、胃液分泌の促進と抑制を調節する神経(迷走神経、交感神経)やホルモン(ガストリン、セクレチン)の働きがうまくいかない、などが考えられていますがその仕組みについてはよくわかっていません。
B、鍼灸治療
胃酸過多症に対する鍼灸治療は、胃酸過多症の原因が自律神経失調に起因するものとホルモンバランスの崩れによるものですから、胸背部交感神経と頚部迷走神経への働きかけを中心に、背部兪穴と腹部募穴による兪募穴治療を行います、また胃炎を併発している場合を考慮して胃経への経絡治療も行います。
C、予防
胃酸過多症は過度の飲酒、喫煙、香辛料の摂取によって起こります、また精神的疲労によるストレス状態でも発症しますので、これらを注意することで胃酸過多症は予防できます。
3、胃潰瘍・十二指腸潰瘍
A、概念
胃潰瘍・十二指腸潰瘍は消化性潰瘍ともいい、この胃潰瘍と十二指腸潰瘍は本質的には同じ疾患と考えられています、両者の相違点としては十二指腸潰瘍のほうが胃潰瘍よりも比較的若年者に多く、自覚症状も胃潰瘍より強く出ます。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状は、典型的な心窩部痛で特に十二指腸潰瘍では、空腹時や夜間就寝中の痛みが多くでて、食物の摂取によって改善するといわれています、また合併症として出血、穿孔、狭窄があります。出血には口から新鮮血や凝血塊を嘔吐する吐血と小腸、大腸を通過し肛門よりタール状の黒褐色便としてみられる下血があります。穿孔は突発する激しい腹痛により発症し、ほとんどは十二指腸潰瘍で起こります。
狭窄は十二指腸球部に多く発症し、進行すると食物が胃内に貯留して吐き気や嘔吐が起こります。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍の発症原因として、従来は胃酸やペプシンにる粘膜線維の自己消化と考えられてきましたが、罹患者にヘリコバクター・ピロリ菌の検出率が高いことと、ピロリ菌の除菌により潰瘍の再発が激減することから、ピロリ菌説が胃潰瘍・十二指腸潰瘍の発症原因の根拠となっています。
また過酸、ストレス、喫煙などは当然、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の発症原因に関与しています。
B、鍼灸治療
胃潰瘍・十二指腸潰瘍に対する鍼灸治療は出血、穿孔、狭窄などの合併症を伴う場合は症状が緊急かつ重篤ですので対象外です、これら合併症を伴わない軽度の場合、鍼灸治療は積極的に行います。胃潰瘍・十二指腸潰瘍に対する鍼灸治療は胃経を中心とした経絡治療と兪募穴治療を行うと共に、ストレス緩和の治療も行います。
C、予防
胃潰瘍・十二指腸潰瘍は粘膜欠損部が粘膜下層まで達したものをいい、粘膜内に限局しているものはびらんといいます。したがってびらん状態で食い止めるか、びらんをも起こさせないようにしなければなりません、びらんを起こす要因にはストレス、不規則な生活と食習慣、及び過労などが挙げられていますので、それらを是正することで予防できます。
4、慢性肝炎
A、概念
慢性肝炎は6カ月以上に渡り、肝臓に炎症が持続して肝機能に異常をきたす状態をいいます、これにはウイルス性の慢性肝炎と自己免疫性の慢性肝炎があります。
ウイルス性の慢性肝炎では、B型慢性肝炎とC型慢性肝炎があり、特にC型慢性肝炎の場合は自覚症状があらわれないことが多く、病変は徐々に進行して20年から30年で肝硬変へ進展するといわれています。
またウイルス性の慢性肝炎は、高頻度で肝癌発生の原因となる可能性があり、そのうち60%〜70%はC型慢性肝炎によるものです。
自己免疫性の慢性肝炎は、中年女性に好発し、肝臓に対して特異的に発症する自己免疫疾患です、この慢性肝炎は適切な治療が施されなければ比較的早く肝硬変に至る疾患でもあります。
自己免疫性の慢性肝炎は、症状に特徴的なものは無くほとんどが無症状で、検診時に偶然発見される場合が多いようです。
B、鍼灸治療
慢性肝炎の鍼灸治療は、ウイルス性の慢性肝炎では、西医でのインターフェロンによる治療と併用したものになります、治療は接触鍼と知熱灸によるもので、肝経を中心とした経絡治療と兪募穴治療を行います。またウイルスの活動を弱める為の免疫力増強を目指した治療も行います、そして自己免疫性の慢性肝炎は、体質改善を目指した治療となります。
C、対策
日本ではB型肝炎に関してはワクチンの普及と公衆衛生レベルの向上で幼少児感染は激減していますが、抗体をもたない若年者が東南アジア旅行などで感染するケースが増えているようです。C型肝炎に関しては血液を介して感染しますので感染経路は輸血によるものが最も多かったのですが、供血者スクリーニングが導入されてからは大きく減少しています、しかしC型肝炎の最大の特徴は慢性化しやすいことでA型やB型と異なり成人でも慢性化するということです。したがって感染した場合は早期治療と食事療法及び適度な安静を心がけてください。
5、胆石症
A、概念
胆石は胆道内に発生する結石で、発生した部位により胆嚢結石、総胆管結石、肝内結石に分けられます、その内胆嚢結石が80%〜90%を占めています。また結石の組成によりコレステロール胆石と色素胆石に分けられています。コレステロール胆石の発生機序はコレステロールが通常は胆汁酸の作用で胆汁中に溶け込んだ状態なのが、コレステロール過剰状態になるとコレステロール結晶が現れ、これが集まって発育したものがコレステロール胆石です。色素胆石の場合は水に溶けないビリルビンカルシウムが発育成長したものです。日本では現在1000万人近くが胆石を保有していると推定されていますがその内過半数が無症状胆石といわれ、一度も胆石症状を示さない人たちです。胆石の症状は腹痛、発熱、黄疸で、これを胆石の三主徴と呼んでいます、特に発熱や黄疸が出た場合は症状が重篤で緊急な対応が必要です。
B、鍼灸治療
胆石症に対する鍼灸治療は症状が疝痛発作のみの場合は積極的に行います、これは胆石が十二指腸開口部を通り抜けたときの痛みですので西医においても経過観察となります。しかし症状が発熱、黄疸などが出ている場合は胆石が十二指腸開口部をふさいでしまっている可能性が高いので西医での検査及び治療が必要です。治療は胆石特有の圧痛点を中心に行い、胆経への経絡治療及び背部兪穴と腹部募穴の兪募穴治療を行います、また再発防止の為、コレステロールやビリルビンの代謝促進を目指した全身治療が特に重要です。
C、予防
色素胆石の場合は主因が胆汁うっ滞と胆道感染ですので予防は困難ですが、コレステロール胆石の場合はコレステロール過剰が原因ですので脂肪摂取を制限することによって予防できます。また一度発作が起こると繰り返し発作が現れる場合がありますので脂肪摂取制限のほか、過労、過食、アルコール摂取などは控えるようにしてください。
6、口内炎
A、概念
口内炎は口腔粘膜に発生する炎症性病変の総称で、口内炎の発症部位が限局している場合は舌炎、歯肉炎などと呼ばれています、また口内炎は大きく分けてカタル性口内炎、潰瘍性口内炎、アフタ性口内炎などに分類されます。このうち最も多いのがアフタ性口内炎で再発性アフタとも呼ばれ、直径数ミリの偽膜性小潰瘍が発生して10日ほどで自然治癒しますが再発を繰り返します。口内炎の症状は、摂食時の強い痛みが特徴で、発熱や食欲不振などの全身症状はありませんが、重症例では潰瘍形成などのために摂食障害が問題になります、アフタ性口内炎の原因は単一ではありませんが、単純ヘルペスウイルスの再感染が多くを占めています。
B、鍼灸治療
口内炎に対する鍼灸治療は、口内炎の大部分を占めるアフタ性口内炎に対して行います、したがって膠原病や全身性疾患に伴うものについては対象外となります。口内炎の治療は、大腸経及び胃経を中心とした経絡治療と、口内炎の原因が免疫力低下によるウイルス感染ですから、根治療法として免疫力増強を目指した全身治療を行います。
C、対策
口内炎の原因として、単純ヘルペスウイルスのほか多種多様ありますが、ほとんどの口内炎は口腔内細菌の二次感染を伴いますので、口腔内を常に清潔にすることが重要になります。
7、口角炎
A、概念
口角炎は口の両端が切れたり、亀裂が入ったり、時にはそれがかさぶたになったりするものを言います。症状は疼痛ですが大きく口を開かねばそれほど痛くはありません、原因は真菌や細菌の感染ですが、その基礎にはビタミンB2の欠乏、栄養不良、機械的刺激などが存在します。
B、鍼灸治療
口角炎に対する鍼灸治療は口内炎と同様に大腸経及び胃経を中心とした経絡治療を行います。また原因として吸収障害に基づく栄養不良が考えられますので、体質改善を目指した全身治療を行います。
C、予防
体質的な吸収障害がない場合はビタミンB2の欠乏、栄養不良、機械的刺激などを起こさないようにすれば予防できます。
8、慢性腸炎
A、概念
慢性腸炎は単なる症候名であって疾患名ではありません、これは慢性的に腸粘膜が炎症状態にあるものを言います、したがって感染症による急性腸炎や薬剤による急性腸炎などは除外されます。この慢性腸炎には潰瘍性大腸炎、クローン病などが考えられます。潰瘍性大腸炎は主として大腸粘膜を侵し、びらんや潰瘍を形成する慢性炎症性腸疾患です、30歳以下の成人に多く発症しますが小児や50歳以上の場合にもみられます。潰瘍性大腸炎の主な症状は、粘血下痢ですが腹痛、発熱、食欲不振、体重減少、易疲労感などもみられます、原因は不明ですが大腸粘膜における局所免疫異常が関与していると考えられています。クローン病は消化管のあらゆる部位に発生する慢性のしかも難治性の炎症性疾患です。クローン病の症状は、炎症が発生した部位によってさまざまですが、主として長期にわたる腹痛、間欠性発熱、下痢、嘔吐などを訴え、体重減少、貧血が現れます、クローン病の原因は不明ですがアレルギーが関与していると考えられています。
B、鍼灸治療
慢性腸炎に対する鍼灸治療は西医において通院治療が可能な症状を対象とします、したがって入院治療及び手術対応となる場合は対象外となります。治療は症状に応じた経絡治療と、原因が局所免疫異常やアレルギーの関与ですので、体質改善を目的とした全身治療を行います。
C、対策
慢性腸炎の場合、西医においては症状を根治させるというのではなく、症状をコントロールして患者さんに通常の社会生活を送ってもらうということに主眼を置いています。したがって食事療法を中心に、症状を増悪させるストレスを回避する為の生活改善指導なども行われ、患者さんのQOL向上を目指してコメディカル・スタッフが一致協力してこれにあたっています。
9、下痢
A、概念
下痢は糞便中の水分が増加して固有の形態を失い急激に排出される状態を言います。通常の固形便では水分含有量が70%〜80%ですが80%〜90%になると軟便から泥状便になり、90%以上では水様便となります。下痢の発生する仕組みから分類すると浸透圧性下痢、分泌性下痢、通過時間の異常による下痢の三つに大別されます。浸透圧性下痢は腸管から吸収されない物質によって腸管内浸透圧が高まって起こる下痢で、牛乳を飲むと下痢を起こしてしまう、いわゆる牛乳不耐症などが代表的な例です。分泌性下痢は細菌毒素、ホルモン、化学物質などが腸管において水分や電解質の分泌を促進して起こる下痢で、その種類は非常に多くあります、また脂肪性下痢や胆汁酸性下痢も分泌性下痢に属します。通過時間の異常による下痢は通過時間低下の場合、腸狭窄、憩室などによる細菌増殖が原因で、通過時間亢進の場合は、過敏性腸症候群や甲状腺機能亢進症で腸運動が亢進することにより起こす下痢です。このように一口に下痢といってもその種類と症状及び原因は多岐にわたっていますので鑑別診断が特に重要です。
B、鍼灸治療
下痢に対する鍼灸治療は急性症の場合、原因は細菌毒素や化学物質による食中毒の場合が多いので原則として対象外です、慢性症の場合は機能的、体質的なものが多いので鍼灸治療は非常によく効きます。治療は胸腰部交感神経への働きかけと兪募穴治療を中心に、胃経への経絡治療を行います、また体質改善を目指した全身治療も行います。
C、予防
食中毒や感染性腸炎による急性下痢は、原因物質をすみやかに排出する為の生体防御反応ですので、適切な治療をすれば心配ありません。慢性的な下痢症状は偏食、過労、睡眠不足、ストレスなどによる胃腸管の機能不全によって起こりますので、それらを是正することによって予防できます。
10、痔
A、概念
痔は肛門部疾患の代表的なもので、痔核(いぼじ)、裂肛(きれじ)、痔瘻(肛門周囲膿瘍も含む)を総称したものです。痔核(いぼじ)は、痔疾患の中で最も多くて、肛門管部粘膜下及び皮下に存在する上静脈叢、中静脈叢、下静脈叢に生じた静脈瘤です、そしてそれぞれを内痔核、中痔核、外痔核と呼びます。痔核(いぼじ)の症状は、内痔核の場合、排便時出血が最も多く、ときには内痔核が肛門外に脱出する脱肛を起こすこともあります、外痔核の場合は疼痛や圧痛が強く出ますが出血はほとんどありません。痔核(いぼじ)の原因には、静脈、および門脈系のうっ血を起こす、妊娠、慢性便秘、門脈圧亢進症などがあり、飲酒や過度の腹圧負荷なども誘因となります。裂肛(きれじ)は、肛門管の過度の伸展により肛門管上皮に裂創を生じたもので、女性に多く、主に後方正中部に発生します。裂肛(きれじ)の症状は、排便時及び排便後の疼痛で多くは新鮮血の出血があります、これに感染が加わると慢性の肛門潰瘍になります、裂肛の原因は便秘によるものがほとんどです。痔瘻は直腸粘膜、肛門管、肛門周囲皮膚に瘻孔を生じる疾患で、瘻孔の両端が開口しているものを完全瘻孔、片側が盲端になっているものを不完全瘻孔といいます。症状は肛門周囲外口からの排膿、あるいは膿の貯留による腫脹、疼痛、発熱があります、原因はほとんどが肛門腺の感染によって起きる肛門周囲炎が膿瘍化する肛門周囲膿瘍です。
B、鍼灸治療
痔に対する鍼灸治療は痔核(いぼじ)、裂肛(きれじ)を対象とします、痔瘻の場合はほとんどが手術対応となりますので対象外です。痔に対する鍼灸治療は、門脈系の側副路でもある直腸静脈叢の鬱血を取り除く為、仙骨部治療穴を中心に行い、背部兪穴及び腹部募穴による兪募穴治療、そして便秘解消の為、胃経に対する経絡治療も行います。
C、予防
痔核(いぼじ)、裂肛(きれじ)に共通する原因は便秘ですので、まず便秘を起こさないようにすることが大切です、そして飲酒や腹圧負荷なども注意することで痔は予防できます。痔瘻については肛門腺からの細菌感染による、肛門周囲炎が原因ですので肛門周囲を常に清潔に保つことで予防できます。
11、便秘
A、概念
便秘は排便が順調に行われない状態をいい、排便回数では4日以上便通がないもの、あるいは毎日排便があっても、排便量が少なかったり、硬くて排便に困難をきたす場合、一般に便秘とします。便秘には器質的疾患に起因する器質的便秘と、器質原因のない機能的便秘がありますが、ここでは慢性化した機能的便秘を対象とします。機能的便秘には、弛緩性便秘、けいれん性便秘、直腸性便秘があります。弛緩性便秘は、大腸の蠕動運動低下により、腸内容の停留時間が長くなり、水分が過剰に吸収された結果便秘となります。けいれん性便秘は、蠕動運動を促進させる副交感神経が過緊張状態になり、蠕動運動は常にけいれん性で、腸内容は規則的に肛門側に送られないために便秘となります、また排出される便は兎糞状であったり、蠕動が亢進しているため、しばしば便秘と下痢が交互にやってきたりします。直腸性便秘は、排便反射が減弱しているため、直腸内に糞便が入っても排便が起こらない状態をいいます、したがって直腸容積は4〜5倍となり、硬い便が分割されて排出されます。機能性便秘の症状は排便困難のほかに、腹部膨満感、食欲不振、悪心、頭痛、めまい、倦怠感、などが挙げられています。
B、鍼灸治療
便秘に対する鍼灸治療は、原因が蠕動運動と排便反射をつかさどる自律神経のアンバランスに起因するものですので、鍼灸治療が非常によく効きます、治療は腰仙部自律神経への働きかけを中心に、背部兪穴と腹部募穴による兪募穴治療を行うと共に、胃経に対する経絡治療も行います。
C、対策
便秘はもっともポピュラーな症状で、ほとんどの人が経験しているのではないでしょうか、また便秘を対象とした市販薬も数百種類にのぼり、その生産高も大幅に増加しているところを見ると、かなりの人が市販の便秘薬を常用しており、薬に頼った排便を続けているものと思われます。排便は食物摂取に匹敵するほど重要な生理活動ですので、自力排便が基本です、それには規則正しい食習慣を身につけることが重要で、特に朝食は排便に関する限り、三食の中で最も重要です、これは胃に食物が入ると大腸が大蠕動を起こして、前の日に摂取した食物の残りを一気に直腸へ押し出すという、胃・大腸反射が起こるからです。鍼灸治療は衰えかけた自律神経機能を強化することのできる最も有効な治療法ですので、薬剤なしでは排便できない方、薬剤の副作用を心配しながらも一生の間、飲み続けなければならないとあきらめている方は、是非、近所の鍼灸院に相談されてはいかがでしょうか。
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